本当に時代遅れ?効果的な社員旅行を実施する際のポイントを解説!!
コロナ禍などの影響により、近年では実施する企業も減ってきている社員旅行。この記事では社員旅行を実施するメリットや昨今の動向に加え、実施にあたっての注意点を解説します。社員旅行の実施を検討している方はぜひご確認ください。
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社員旅行のメリット ・デメリット
社員旅行を実施することは企業にとってメリットとデメリットがあります。自社にとって社員旅行を実施することはメリットとデメリットのどちらが大きいのかを検討し実施するかどうかを判断することが大切です。
メリット
従業員同士の絆が深まる
社員旅行の大きなメリットは、従業員同士の絆が深まることです。日々の業務では気づけなかった同僚の一面を知ることで新たな信頼関係が生まれ、日常の業務でもより良い協力関係が築くことができます。
特に異なる部署や役職の人々との交流が促進されることで、会社全体の連携が強化されてコミュニケーションの円滑化が期待できます。
生産性の向上
非日常の体験や新しい環境に身を置くことで、従業員は日常のストレスから解放されてリフレッシュすることが可能です。心身ともにリフレッシュした状態で業務に取り組むことで、集中力や体力が充実し、新たなアイデアが生まれやすくなるため生産性の向上が期待できます。
人材確保(離職防止・採用)
社員旅行を通じて従業員間の連携を強化し、モチベーションを向上させることでエンゲージメントが高まり離職防止への効果が期待できます。
また充実した社員旅行をPRすることで、求職者からは福利厚生が充実した魅力的な企業として映るため、採用にもポジティブな効果があるといえます。
デメリット
業務への影響
社員旅行は一時的に業務に影響を及ぼす可能性があります。例えば、社員旅行が営業日に行われる場合は必然的に業務が一時停止することになります。よって実施する時期や日数などは業務への影響を考慮したうえで決定する必要があります。
希望しない人の反発
社員旅行を必ずしも希望しない社員もいます。このような個人の意見をないがしろにすると、参加を強制されると感じた社員からの反発を招くことがあり、結果的に社員旅行で意図した効果が得られないばかりか、社員旅行を行う前よりもかえってモチベーションやエンゲージメントが下がる可能性があります。そういった事態を防ぐためにも、参加を自主的に選べるような工夫が求められます。
費用が高額
企業にとって、社員旅行の費用は決して安くありません。従業員数が多ければ多いほど一人当たりの旅費が少し変わるだけで大きなインパクトがあるため、旅行業者やプランなどは慎重に検討することが重要です。
幹事の業務負荷
社員旅行の幹事は企画や業者選定、当日の引率などかなりの手間と労力がかかります。幹事を担当する従業員の本業への影響を踏まえたうえで無理なく実施ができる体制を整える必要があります。
社員旅行のトレンド
実施率の推移
これのグラフは労産総合研究所「社内イベント・社員旅行等に関する調査(2014年、2020年) 」より抜粋した社員旅行の実施率です。(2019年は計算方法を変更して算出しているため参考値)
バブル期以降、年々減少しており2014年時点では1994年のほぼ半数、2019年については3割程度の割合まで減少しています。
減少の理由
社員旅行の実施が減少している背景には、従業員のライフスタイルの多様化があります。若い世代を中心に仕事よりプライベートの時間を優先する傾向が強まっていった結果、社員旅行を希望する従業員が減り、企業が福利厚生施策として採用しなくなっていきました。
また2020年頃からのコロナウィルスの蔓延もあり、集団行動や旅行に対する不安が高まったことも決定打となり、社員旅行を実施している企業は大きく減少しています。
従業員の認識
上のグラフは、社員旅行に対するイメージに関する 株式会社サーバーワークスの調査をまとめたものです。「懇親、チームビルディングに役立つ」などのポジティブなイメージが36.4%に対し、「時代遅れ」などのネガティブなイメージは43.2%とネガティブなイメージが上回る結果となっています。
一方、上のグラフは社員旅行に参加した方のうち、今後社員旅行があったらまた参加したいかをまとめたものです。87.8%と約9割の方が参加の意思があることがわかりました。
2つのグラフから、社員旅行に対してネガティブなイメージを持つ方は多いものの、実際に参加してみると当初のイメージよりは楽しめた、有意義であったということがいえます。
サーバーワークス「【働き方ラボ】社員旅行に関する調査結果を公表 〜社員旅行を実施している会社は3割弱・4人に1人が社員旅行に「時代遅れ」のイメージ〜 」より
参加率の向上が重要
2つのグラフから分かる通り、ネガティブなイメージを持たれがちな社員旅行も、いざ参加してみるとポジティブな感想を抱く方がほとんどであることがいえるため、企業としてはまずは参加率を上げる工夫をすることが重要です。
そのためには、企画段階からの工夫が必要不可欠です。社員のニーズを事前に把握し、多くの従業員にとって魅力的な旅行プランを立案することで、参加率を向上させることが可能です。企業の思い込みだけでなく、従業員の声に耳を傾ける姿勢が重要です。
社員旅行の手続き
社員旅行実施までの具体的な進め方と実施後の課税処理について解説します。
社員旅行の準備
①目的を決める
まず、社員旅行の目的を明確に定めることが基本です。従業員間の親睦が目的なのか、研修カリキュラムの一環としての旅行なのかなど、目的がはっきりしていると、それに沿ったプランニングが進めやすくなります。
②アンケート調査
従業員の意見を反映させるためにアンケート調査を行います。これによって希望する旅行先や内容、参加意欲を把握することができるため、プランを具体化させるためのアイデアや注意すべきポイントなどが浮かび上がってきます。
③旅行会社の検討
社員旅行の運営をすべて自前で行うとなるとかなりの労力がかかるため、旅行会社に任せるとスムーズです。複数の旅行会社を検討し、費用対効果やサービス内容を比較して選びます。
④日程、旅行先、予算
旅行の日程や行き先、予算について実施したアンケートや旅行会社のアドバイスなどを踏まえて決めていきます。
参加率を上げるためには、魅力的な旅行プランを企画するだけではなく、従業員全員が日程的にも業務的にも負担がなく、参加しやすいような日程を検討することがポイントです。
⑤詳細なスケジュール・プランを練る
滞在中の観光先やアクティビティ、自由時間の取り方を考慮し、より詳細なスケジュールを練ります。多人数での旅行となるため、トラブルが起きても柔軟に対応することができるように 、時間に余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。
⑥移動手段、ホテルを決める
参加者の人数や旅行プランを踏まえて、移動手段や宿泊先を選びます。宿泊する際の快適さはもちろんのこと、大人数で行動する際の利便性を視野に入れて検討する必要があります。
⑦人数最終確定
最終的な参加人数を確認し、リストを確定します。この時点で必要な予約や調整を済ませます。
⑧スケジュール等の事前共有
決定した行程を参加者全員に共有します。全員が行程を把握することで、スムーズに運営することができます。
社員旅行の課税処理
社員旅行はある一定の条件をみたせば、福利厚生費として損金算入することが可能です。ここでは福利厚生として計上できる場合とできない場合を解説します。
福利厚生費として計上する場合
以下の条件を満たせば社員旅行の費用を福利厚生費として計上することが可能です。
- 旅行の期間が4泊5日以内であること
海外旅行の場合は外国での滞在日数が4泊5日以内であること - 旅行に参加した人数が全体の50パーセント以上であること
工場や支店ごとに行う旅行は、その職場ごとの50パーセント以上
課税対象になる場合
先の条件を満たしていても、以下のような場合は社員旅行と認められない場合があります。
- 役員だけで行う旅行
- 取引先に対する接待、供応、慰安等のための旅行
- 実質的に私的旅行と認められる旅行
- 金銭との選択が可能な旅行
そのほか、旅行の利用頻度や金額、内容によっては課税対象になる場合もあります。会計処理は十分注意して行うことが大切です。
国税庁 タックスアンサー「No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行」より
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まとめ
社員旅行は、代表的な福利厚生の一つです。しかし、昨今のライフスタイルの変化や社会情勢の影響により、実施にあたっては十分な配慮が必要です。
企業から一方的にあるいは強制的に実施するのではなく、従業員一人ひとりの価値観や希望を尊重して上手に実施することができれば、従業員と企業の双方にとってメリットを享受できます。
時代遅れの施策と敬遠するのではなく、まずは一度検討してみてはいかがでしょうか?
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