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財形貯蓄とはどんな制度?制度の概要と利用時に注意するポイントを解説いたします!

厚生労働省によると、財形貯蓄制度とは「勤労者が財形貯蓄取扱機関と契約を締結し、事業主が勤労者に代わって賃金から天引き預金する方法により貯蓄を行う制度」とあります。この記事では財形貯蓄制度のメリットやデメリットに加え、運営時の注意点などをご紹介いたします。

目次[非表示]

  1. 財形貯蓄制度の概要
    1. 財形貯蓄制度の対象者
    2. 財形貯蓄制度の種類
  2. 財形貯蓄のメリット
    1. 従業員にとってのメリット
    2. 会社にとってのメリット
  3. 財形貯蓄のデメリット
    1. 従業員にとってのデメリット
    2. 会社にとってのデメリット
  4. 財形貯蓄のポイント、注意点
    1. 引き出し時
    2. 継続ができる場合とできない場合
    3. 金融機関の変更
  5. まとめ

財形貯蓄制度の概要

財形貯蓄制度の対象者

財形貯蓄制度は職業の種類や雇用形態にかかわらず、すべての労働者が対象です。アルバイトやパートタイマー、契約社員、派遣社員の方も条件を満たすことで利用することが可能です。

ただし、前提として財形貯蓄制度を利用するには勤務する企業や団体が制度を導入していることが必須条件になります。
そのため、自営業やフリーランス、労働者にあたらない法人の役員などは、原則として財形貯蓄制度を利用できません。


財形貯蓄制度の種類

一般財形貯蓄

使用目的は限定せず、自由に使えるフレキシブルな財形貯蓄です。車や旅行などの短期計画から、結婚、出産、教育などの大きなライフイベント、けがや病気、引っ越しなどの不意の出費にも、幅広い目的に利用可能です。貯蓄開始から1年経てば、いつでも自由に払い出しができるようになります。


財形住宅貯蓄

マイホームの建設・購入・リフォームなど、住まいの資金づくりを目指す方にお勧めの財形貯蓄です。 「財形年金貯蓄」と合わせて、貯蓄残高550万円まで、利子等に税金がかかりません。
ただし、住宅の建設・購入・リフォーム以外の払い出しは要件を満たさないため、利子等に課税されます。


財形年金貯蓄

60歳以降に年金として受け取るための老後の資金づくりを目的としています。「財形住宅貯蓄」と合わせて、貯蓄残高550万円まで利子等に税金がかかりません(保険などの商品の場合は、払込額385万円までが非課税)。
ただし、年金以外の払い出しは要件を満たさないため、利子等に課税されます。




一般財形貯蓄
財形住宅貯蓄
財形年金貯蓄
対象者
従業員
満55歳以下の従業員

※1人1契約

一般財形貯蓄・財形年金貯蓄との併用は可能

満55歳以下の従業員

※1人1契約
一般財形貯蓄・財形住宅貯蓄との併用は可能

資金使途
制限なし
・住宅の建設
・住宅の購入
・リフォーム(工費75万円以上)
年金

満60歳以降に5年以上20年以内

(保険商品の場合、終身受け取りもできます)

積立期間
原則3年以上
5年以上
5年以上
非課税措置
なし

(財形年金貯蓄と合わせて)


預貯金など:

元本(預入額+元

加利息)550万円まで利子等非課税


保険など:

払込累計 550万円まで利子等非課税

(財形年金貯蓄と合わせて)


預貯金など:

元本(預入額+元

加利息)550万円まで利子等非課税


保険など:

払込累計 385万円まで利子等非課税

貯蓄商品

預貯金(定期預金・定期貯金など)、合同運用信託、

有価証券(国債などの公社債・証券投資信託の受益証券・金融債・株式投資信託)、生命保険、生命共済、損害保険

独立行政法人 勤労者退職金共済機構勤労者財産形成事業本部「財形貯蓄制度 」より


財形貯蓄のメリット

従業員にとってのメリット

確実に貯蓄できる

財形貯蓄制度は給与からの天引き(賃金控除)で行う貯蓄制度であるため、従業員は自身で能動的に貯蓄をしなくても半ば自動的に貯蓄することが可能です。


非課税措置を受けられる

通常、預貯金などの利子には所得税等の税金がかかりますが、財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄については元本550万円までが利子等非課税の対象になります。


貯蓄残高に応じて住宅購入等の融資を受けられる

1年以上財形貯蓄をしていて、財形貯蓄の残高が50万円以上ある方は「財形持家転貸融資制度」を受けられます。
これは、住宅の購入やリフォームを対象に公的な融資を受けられる制度です。
融資限度額は、財形貯蓄残高の10倍以内で最高4,000万円まで、住宅の建設・購入・リフォームに要する費用の原則90%以内となっています。


会社にとってのメリット

福利厚生の充実による企業イメージ向上

財形貯蓄制度を利用できるのは、制度を導入している会社に勤める従業員に限ります。よって制度を導入することで福利厚生の一環として他の企業と差別化することにつながり、自社のイメージアップの効果も期待できます。


従業員のモチベーションアップ

財形貯蓄制度を整備することによって、従業員は福利厚生制度として恩恵を受けることができるため、勤め先に対するエンゲージメントの向上やモチベーションアップによる生産性の向上につながることが期待できます。



財形貯蓄のデメリット

従業員にとってのデメリット

勤務先が導入していないと使えない

前提として勤務先が財形貯蓄制度を導入していない方は制度を利用することができません。せっかく財形貯蓄制度で貯蓄をすすめていても、転職先が制度の導入をしていない場合は解約しなければならないといったリスクがあります。

利率が高くない

財形貯蓄制度で扱う商品は預貯金が中心のため、株式や投資信託と比較してリターンが少ない傾向にあります。リスクとリターンのバランスをよく検討して自分に合った資産運用方法を見つけることが重要です。

自由に使えないケースがある

財形貯蓄制度のメリットに利子等が非課税になる点がありますが、資金使途や引き出すタイミングによってはその恩恵を受けられないケースがあります。また一定期間払い出しができないなどの制限もあるため、目的をきちんと明確にしてから制度を利用する必要があります。


会社にとってのデメリット

管理の業務が発生する

財形貯蓄制度を導入するには、①取引金融機関を決め、②労使協定・社内規定を定め、③従業員へ周知・説明を行うといったプロセスが必要です。

ただ制度を設けて終わりではなく、運用コストが発生することもきちんと考慮しなければなりません。



財形貯蓄のポイント、注意点

引き出し時

退職時

退職により、当該企業の従業員でなくなった場合は新たな積み立てを行うことはできません。
転職時の取り扱いについては後述します。


目的外の用途で引き出す時

財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄については、基本的には目的外での払出しは利子等課税の対象となります。しかし以下の理由による払出しの場合には、税務署から確認を受けることにより非課税で払出しをすることが可能です。

  • 本人または生計を一にする親族が所有する家屋が災害等による被害を受けた場合
  • 本人または生計を一にする親族に対して支払った医療費の年間合計額が200万円を超えた場合
  • 本人が所得税法上の一定の寡婦又は寡夫に該当することとなった場合
  • 本人が所得税法上の特別障害者に該当することとなった場合
  • 本人が雇用保険の特定受給資格者または特定理由離職者に該当することとなった場合   


継続ができる場合とできない場合

転職時

転職、出向によって勤務先が変わった場合、新たな勤務先で財形貯蓄制度が導入されていれば、新たな勤務先で所定の手続(「勤務先異動申告書」の提出など)を行うことで、引き続き継続することができます。
 新たな勤務先で同一金融機関の取扱いがない場合も、退職等の日から2年以内に別の金融機関に預け替えて積立を継続することができます。

育休取得時

育児休業等を取得する場合、子が3歳になるまでの間に限り非課税財形貯蓄の積み立てを中断することができます。育児休業終了後に積み立てを再開すれば非課税での積み立てを継続することが可能です。


海外転勤

一般財形貯蓄の場合は、
海外転勤中であっても国内払いの賃金があればそこからの天引きによって積み立てを継続できます。

財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄の場合は、
転勤によって海外に1年以上居住する場合は出国中は非課税での積み立てを継続することはできません。ただし、所定の手続(「海外転勤者の財形非課税住宅貯蓄・年金貯蓄継続適用申告書」の提出)を行うことで、最大7年間、非課税措置を受けたまま積立を中断することができます。 


役員就任時

法人の役員となった場合、従業員とは該当しなくなるため財形貯蓄の積み立てを行うことはできません。ただし、代表権・業務執行権を持たず、部長職等の職務を兼務し、役員報酬とは別に、賃金として給与が支払われる場合には、従業員と認められ、賃金の範囲内で財形貯蓄を継続できることがあります。


金融機関の変更

貯蓄歴3年以上の「一般財形貯蓄」に限り、勤務先が指定している他の取り扱い金融機関に預け替えることが認められています。


厚生労働省ホームページ「財形貯蓄制度 」より

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まとめ

財形貯蓄制度は日本における労働者の資産形成を支援するための制度で、給与天引きによる計画的な貯蓄が可能な点や、利子等が非課税になる点などメリットが多くあります。一方で資金使途が限られていたり、流動性が低かったりと利用の際には注意が必要な制度でもあります。

企業が福利厚生制度として財形貯蓄制度を導入する際には、制度を導入して終わりではなく、従業員にメリットデメリットをきちんと説明し、理解してもらうことが重要です。



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